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そんなことはなかったぜ! スプリンクラーを「手 動」で発動させた→「あはは、君って戦いの天才だね!(キリ」 紙はトイレットペーパーじゃないんだから溶けないんだ!→けど何故かインクは溶けたぜ! ステイルにとってインデックスは何年も連れ添った最愛の人かと思ったが踏みつけたり一年しか付き合いがなかったりでそんなことなかったぜ! 神裂にとって(ry インデックスの完全記憶能力でインデックスが危ない!→そんなことなかったぜ!ググレば秒殺だぜ! 錬金術師の能力でインデックスが危ない!→そんなことなかったぜ!ヘタレだったぜ! 上条の腕が千切れ飛んでも2日後にはそんなことなかったぜ! 10億V直撃で上条が危ない!→そんなことなかったぜ!そのまま喧嘩売りに行ったぜ! 粉塵爆発で上条が危ない!→そんなことなかったぜ!コンテナ吹っ飛んでも上条無傷だぜ! 最強の一方通行の能力で上条が危ない!→そんなことなかったぜ!またヘタレだったぜ! 天使が降ってきて世界が危ない!→そんなことなかったぜ!体が入れ替わっても無事故でなんてことなかったぜ! 親父の土産で御使堕し発動!→全くもってそんなつもりはなかったんだぜ! 土御門の拳で上条が危ない!→そんなことあったぜ! 土御門の魔術で土御門危ない!→全くもってそんなことなかったぜ! 土御門命がけで世界救ったぜ!→「また借りができましたね、上条当麻(キリ」 一方通行は血を逆流させて殺す&指食う殺人鬼だぜ!→そんなことやりたくなかったんだぜ! 金星の光を反射してなんでも分解するぜ!→超能力で硬化した体は分解できなかったぜ! 高い暗殺技術を持つ魔術師→分解ナイフが頼みのヘタレだったぜ! 記憶を失い人格がウィルスに汚染されても生体電流をベクトル変換すれば、全部元通りだぜ! ちなみに記憶なんて失ってないんだぜ! 女科学者「学校の先生になりたかったから子供を犠牲にするのは許さない!(キリッ」 →でもミサカ虐殺実験やってたぜ!打ち止め見殺しにする気だったぜ! 右手は異能の結果である物体の運動までは打ち消せない→そんなこと無かったぜ!ゴーレムパンチ軽々止めたぜ! シェリー「戦争をおこすのさ!!(キリリッ」→実はやりたくなかったんだぜ! 強大な力を持った「法の書」の解読法が見つかった→100通り以上あるダミーの一つだったぜ! インデックスはそのことを知っていた→なのに何故か黙ってたぜ! お陰でコント状態だぜ! 結局ツリーなんたら破壊できず逃げられてしまった→こっからは一方通行だだァ(キリッ と一方再デビューの踏み台にされちゃったぜ! 残骸が回収されると実験が再開される→実験参加者は誰もやる気が無いぜ!でもとりあえず殴っとくぜ! 凄腕の雇われ魔術師 兼運び屋が学園都市に侵入して戦争の危機!1 →凄腕かと思ったがそんなことはなかったぜ! 不用意な行動、奇抜な服装、やたらとでかい荷物で怪しまれまくりの上 周囲に丸見え丸聞こえの状態で極秘任務について依頼人と話すぜ!おまけに素人の尾行もロクにまけないぜ! 凄腕の魔術師 兼運び屋が学園都市に侵入して戦争の危機!2 →その通り戦争の危機なんだぜ! でもなにがなんでも魔術師を捕まえないといけないはずなのに 役に立ちそうなインデックスの参戦は「彼女の生活を壊したくない」という理由で見送られたぜ! インデックスの食っちゃ寝生活>越えられない壁>戦争の危機 だぜ! 子供の通う学校に体育祭見学に行ったぜ! →体育祭かと思ったらそんなことはなかったぜ!なぜか玉入れで爆発とか起きてたぜ! 主人公は幻想殺しで幸運も打ち消すぜ! →そんなことはなかったぜ!ホース踏みつけてたら自分でなく近くにいた女の子に水がかかったぜ!透けブラだぜ! あと日に2度も女子の着替えに遭遇してるぜ! 学園都市の技術は20年進んでるぜ! →そんな事はなかったぜ!泥がついただけで使用不能だぜ! 初めから学園外でクローチェディピエトロを使う予定だったぜ! →オリアナ必要なかったぜ! クローチェディピエトロで世界の危機! →大覇星祭のナイトパレード開始時刻に合わせて使用する馬鹿だったぜ! 花火を打ち上げてクローチェディピエトロ失敗! →上条達必要なかったぜ!誰が何をやってもやらなくても無意味だったんだぜ! リドヴィアがクローチェディピエトロ持って逃亡! →機長を人質にするぜ!無関係の子羊の命も盾にするのがイギリス清教だぜ! 「(新聞紙のストックは)こっちにあるのでございますよー」 と言われ、取りに向かったぜ! →オルソラが裸で風呂場にいたぜ!新聞紙のストックは廊下にあったらしいが、説明すら無かったぜ! 「なんでここにいるの?なぜ人の裸を見てもごめんなさいがないの?」と言われて噛み付かれたぜ! →インデックスは外の会話を聞いていたはずなのに裸で飛び出してきたぜ! アニェーゼが損失補てんのために労働要員として女王艦隊の監視船送りにされたぜ! →そのとおりなんだぜ!でもなぜか罪人なのに監視すらつかないぜ!船内フリーパスだぜ! 女王艦隊の船体の氷は融点を改変してる魔術が終了してるから、そげぶ出来ないぜ! →可塑性物質の様な生温かさらしいぜ!魔術が終了してるのに何故か溶けないぜ! 「プラスチックのような生温さ」・・・意味がわからないぜ!「あるいは」ってはっきりして欲しいぜ! 上条の右手は異能を打ち消す「幻想殺し」だぜ! →そんなことはなかったぜ!何が異能に相当するのかは作者や信者の都合でかわるぜ! 船は海水の融点うんぬん可塑性物質うんぬん →なぜか壁はそげぶできるぜ! 氷の弾丸も幻想殺しで砕けるぜ!運動量も消せるぜ! →作者の都合でスーパー幻想殺し状態だぜ! アニェーゼ部隊は「信仰心の篤さには絶対の自信と誇りを持っている」 ぜ! →イタリア編では別人の様な性格で、最後はイギリス正教に改宗しちゃうぜ! お姉さまの寝言『罰ゲームの相手』がわからず、気になってしょうがないぜ! →以前目の前で上条相手に言及しているところを聞いているぜ! 学園都市は最新のセキュリティで治安が良い→そんなことなかったぜ!能力者が暴れまくりで対策も何もしてないぜ! 御坂は器物破損、自販機泥棒の常習犯 ジャッジメントが身内なので捕まらない→でも能力で好き勝手やる悪い奴は見逃せないんだぜ! 黒子は独断専行で失敗し周りの人間を巻き込み痛い目を見た過去がある→一年たっても成長して無かったぜ!独断専行してばっかだぜ! →しかもそれが原因で初春と喧嘩するも特に諌められないままなあなあで仲直りだぜ! 学園都市には高機能のお掃除ロボがそこらじゅうにいるんだぜ!→そんなことなかったぜ!ジャッジメントがコンビニの前まで掃除するぜ! 学園都市には監視カメラもそこらじゅうにあって防犯もバッチリ!→どう考えても防犯カメラがあるコンビニに堂々爆弾しかけた犯人が誰だか分からないぜ! ジャッジメントの捜査情報を一般市民にべらべら喋る→でも一般市民には首突っ込んでほしくないんだぜ! いじめられっこがレベルアッパーで力を手にした!→何故か矛先はいじめっこじゃなくジャッジメントに向いたぜ! 上条の右手は異能は消せても異能の結果である現象までは消せない→そんなことなかったぜ!異能の結果の爆風も余裕で防ぐぜ! 「お姉さまは努力でレベル5になった(キリッ」→でもどんな努力をしたかは一切語られないんだぜ! 学園都市では脳に電極ぶっ刺して能力開発する 運がよければ能力発現→でもレベルアッパーで得た力は「努力せず他人から与えられた力」扱いなんだぜ! ジャッジメントになるには数多くの適性検査と誓約書へのサインが必要→でも一般市民の御坂にあっさり協力要請するぜ! 一方通行はロリコンなんだぜ!→実は家族が欲しかっただけなんだぜ! 一方通行は第一位だから学園都市最強の能力者なんだぜ!→lv5の順位の決め方は能力研究の応用が生み出す利益なんだぜ!
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「わらわが負ける筈がぁー!」 【名前】 大魔女グランディーヌ(エネルギー体) 【読み方】 だいまじょぐらんでぃーぬ(えねるぎーたい) 【声】 山田美穂 【登場作品】 救急戦隊ゴーゴーファイブ 【登場話】 第49話「覚醒!二大破壊神」第50話「燃える救急(レスキュー)魂」 【所属】 災魔一族 【分類】 大魔女/ラスボス 【詳細】 マイナスエネルギーの塊となった「大魔女グランディーヌ」の最終形態。 地球を包み込む事で天変地異を起こし、「龍皇子サラマンデス」を復活、「冥王ジルフィーザ」を以前に背反したので自我を持たさずに復活させる。 「ジルフィーザ」はブルー、グリーンの呼びかけで記憶を取り戻し、「サラマンデス」は兄を拒絶、既に子供達には見切りをつける。 両者を魂のない破壊衝動だけの怪物「破壊神サラマンデスドラゴン」、「破壊神ジルフィーザⅡ」へと変貌させ、地球での破壊活動を開始。 2体の破壊神によって行われる破壊活動を阻止しようとするゴーゴーファイブの巨大戦力を追い詰め、災魔のミレニアムの幕開けを飾ろうとする。 自身の全てのエネルギーを2体に送り込み破壊活動を続けさせるが、巽モンド博士が最終プロジェクトとして秘密裏に製作していたマックスビクトリーロボ・ブラックバージョン(※ブラックマックスビクトリーロボ)が出現、本来の力を起動していないブラックマックスビクトリーロボを追い詰める。 ピンクから自分達の母親の生存を知って奮起した5人の精神エネルギーが蓄積された事でブラックマックスビクトリーロボが本来の力に覚醒、ブラックマックスビクトリーロボの凄まじい力の前になす術もなく、「マックスビクトリープロミネンス」により2大破壊神が倒され、最期は全てのエネルギーを与えていたのが仇となり、プラスエネルギーとなったダメージが逆流して滅び去った(上記の台詞はその際のもの。)。
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imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (inde.png) インディアン、それは、我らが兄貴 インディアン、それは、我らがヒヨコ インディアン、それは、名誉の言葉 ランジエウィーバーな方々へ戻る
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なんでなんだろう? わかんないんだけど、あやちゃんが来る時は なんとなく、わかる。 前もって連絡なんかなくたって、感じるんだ。 「いらっしゃい」 「おじゃまします」 それに、あやちゃんが来る日は、なんとなく調子がいい気がする。 「はい、クスリ」 「ありがとぉ、、」 「ね、調子はどうなの?」 「うん、まぁまぁだよ?」 「そっか…」 「・・・もう、“戻ってこい”って言わないんだね?」 「あ、、あぁ、、うん。だって、、、 「だって?」 「ゆかちゃんに、その気、ないのわかってるし」 「うん」 「ゆかちゃんにとって、それは、 幸せなんかじゃないことも、、、わかってるから…」 …あやちゃん、、、 「ありがとう・・」 「ねぇ?」 「なに?」 「あいつは?仕事?」 やっぱ、、あいつ、なんだよね…いんだけど、さ。 「うん。今日は、久しぶりに、ね」 「久しぶり?・・・また、あんまり働いてない、とか?」 怪訝そうな表情をみせる、あやちゃん。 昔は、あんまり仕事が好きじゃなかったって話したことあったからだろな。 「んーんwそんなのじゃなくって」 「なくって?」 「…んー、、、ちゃんと仕事はしてるんだけど、さ、 最近は、うちにいることも増えたから」 「・・・?」 どういうこと? そう顔にかいてる、あやちゃんは、かわいい。 「ふふっwたぶんなんだけど、ね」 「うん」 「ゆかと、少しでも一緒にいられるように、考えてくれてるんだと思うの」 「・・・そっか、、、なんか・・・ 「なんか?」 「あいつ、らしいね」て。 「あいつ」って呼び方は、同じなんだけど やっぱ、のっちのこと、わかってくれてるんだ、、、て、嬉しく思った。 「うん、、、ゆかも、そう思う」 あやちゃんを見送ると、入れ違いにあ〜ちゃんがやってきた。 「…」 「どうしたん?そんなびっくりした顔して」 「あ、いや、、さっきまで、あやちゃんが来てたから、すごいタイミングだなって」 「あぁ、そうなんだ」 「やっぱ、そんなに似てる?」 リビングのソファに腰をかける。 その姿も、あやちゃんとかぶって、、、、なんか、変な感じ。 「うん、そっくりだよぉ。あ、写真見る?」 「あぁ、、いいや」 「そう?」 「うん。ゆかちゃん、前に言ってたじゃん? 白と黒。そっくりさんは、絶対に出会えないんだって」 「うん」 「だから、見ない。そういうことだと思うから」 どや顔で言うけど、それって、理由になってるようで、なってない気がするよw 「のっち、今日はお仕事行ってるよ」 「うん、知ってる。今日は、ゆかちゃんに会いにきたの」 「ゆかに?」 「そう、、調子どうなのかな、、、て」 「あぁ、うん。大丈夫だよ」 「のっちがさ、会うたびに、心配してるから、さ…」 「…そっか・・」 心配かけて申し訳ないなって思う反面、、嬉しいと思ってしまうなんて、、 どうかしてるよね?うん、どうかしてるほど、ゆかはのっちが愛しくて仕方ない。 「ねぇ、あ〜ちゃん?」 「なに?」 「のっちって、今、、どんな仕事してるの?」 えっ、、と、一瞬、あ〜ちゃんが止まる。 ずっと気になってたこと、、、なんとなく、気付いてる、こと。 「・・のっちが、あんまり、“やりたくない”って思ってる、お仕事?」 あぁ、、うー、、、あ〜ちゃんは、なんとも言えない表情をしたけど、、、 「んー、、まぁ、、、そんな感じ?…かな。 あ、でも、のっちはもともと、黒の仕事あんまり好きじゃないから」 「うん、それは知ってる・・・てか、“ゆかみたいな”仕事、なんだ?」 白と黒とじゃ、内容は違ってくるけれど。 「あ、、うん、そう」 「そっか」 やっぱ、そうなんだ。てか、、、 「のっちって、“そう”だったんだ?」 「そうっていうか、、ま、半分?」 「半分?」 すると、あ〜ちゃんは 「あたしから話すのもどうかなとは思うんだけど」 そう言って、のっちの『秘密』を教えてくれた。 「えっと、“純”の人って、血の関係もあって“純”同士で結婚するでしょ? て、黒はそうなんだけど、白も、、たぶん、そだよね?」 「うん、そだよ」 「のっちは、、、その、いわゆる妾の子というか、、、、 お父さんは“純”なんだけど、お母さんは違うんだって」 「純じゃ、ない、、、黒?」 「かもしれないし、、、もしかして、白だったのかも〜って 本人が昔、冗談めかして言ってたことがある」 「かも?」 「お母さんね、のっち生んですぐに亡くなってるんだって」 「・・・そ、なんだ…。あ、じゃぁ、誰に育ててもらったの?」 「それがさぁ、お父さんに引き取られて、実子と一緒に」 「え、、ほんとに?」 「そう。なんかね、のっちのお父さんとこって、純の中でも 稀な血筋らしくってね。半分といえども、その血を引いた子は貴重だからって」 「・・・へぇ」 「でも、のっちってさ。やればできるのに、基本、やんない子だからw ま、親に反発してたのものあるんだろうけど、全然、チカラも伸びなくてね。 んで、なんとか一人でも生活できる年になったら、あっさりと家をでてきたらしい」 ま、昔、ぽそっと本人がこぼしたことだから、どこまでがほんとかわかんないけどねぇ。 そう、あ〜ちゃんは締めくくった。 そっか、そういうことか。 「・・・びっくり、した?」 「ん?んー・・それはない、かな」 「そっか」 うん、むしろ、 あ、そっかって、、、すっと、自分の中で落ち着いちゃった。 「ねぇ、ゆかちゃん?」 「なに?」 「一緒にいることが、ゆかちゃんにとっても幸せなんだよね?」 あ〜ちゃん・・・ 「もちろんだよ」 「そっか、、そだよね。ごめん、変なこと聞いちゃって」 「んーん」 平気だよ? だから、、、そんな、泣きそうな顔しないでよ。 幸せだよ? それに、やっぱ、のっちじゃなきゃダメだったんだよ。 恋に落ちる運命だったんだ。 でしょ? それにね、のっち? 白いゆかと、黒いのっち。 だからこそ、こんなに惹かれあって 泣いちゃいそうなくらい幸せなんだよ? だからね、嘆かなくたっていんだよ。 だってさ、いつだって泣きそうになっちゃうのだって 悲しいからなんかじゃなく ましてや、寂しいからでもないんだから。 ただただ、幸せだっただけ。 ね? だから、嘆かないで。。。
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187 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第四話】 ◆AJg91T1vXs :2010/11/18(木) 08 14 23 ID S8lbibsa ジャンがテオドール伯の屋敷から戻った時には、既に太陽は西の空に沈みかけていた。 日中は陽射しに恵まれているものの、夜が近づくと途端に冷え込む。 伯爵の屋敷のあった丘からの吹き下ろしが、夕方から夜にかけて街を冷やすためだ。 ジャンとクロードを乗せた馬車が宿場に着いた時、通りにいる人影は既にまばらだった。 昼間は活気あふれる市場としての顔を見せる商店街も、今はなりを潜めている。 「それでは、また、明日の昼ごろにお迎えにあがります。 それまでジャン様は、どうか御身体をお休め下さい」 「わざわざ見送りまでしてもらって悪いね。 本当だったら、僕がその足でテオドール伯の御屋敷に向かえればいいんだけど……」 「滅相もございません。 本来であれば、こちらがジャン様のためのお部屋をご用意せねばならぬところを……旅の途中、わざわざ御引き留めまでして往診していただくのですから。 せめて、お見送りくらいはさせていただかねば、御主人様としても納得はされないでしょう」 「そこまで気を使ってもらうと、なんだかこっちの方が申し訳ない気がしてくるよ……。 まあ、なにはともあれ、僕もしばらくはこの街にいることになりそうだ。 明日は行商人から薬の材料が買えないかどうか、その辺も調べてみることにするよ」 「左様でございますか。 では、本日は、これにて失礼させていただきます」 馬車を降りたジャンに深々と礼をして、クロードは再び馬車の中へと戻った。 御者に簡単に支持を出し、馬車は丘の上の屋敷へと帰って行く。 だんだんと遠ざかって行く馬の蹄の音を聞きながら、ジャンはクロードが最後まで表情を変えなかったことを思い出した。 (なんか、色々な意味で凄い人だったな……。 きっと、筋金入りの使用人なんだろうな……) 帰り道、ジャンはクロードに彼の立場について質問した。 クロードは自分よりも少し上の年齢に見えたが、それにしては位が高そうに見える。 思い切って尋ねたところ、彼の立場はツェペリン家の執事長ということだった。 初め、その答えを聞いた時、ジャンは思わず自分の耳を疑った。 執事長と言えば、使用人の中でも最高に値する地位である。 クロードはまだ二十代に違いないが、その若さで、テオドール伯に仕える全ての使用人を取りまとめる立場にあるのだ。 始終、感情を表に出さずに話すのは、きっとクロードの癖なのだろう。 彼はテオドール伯に仕える最高位の使用人。 だからこそ、任務に私情を挟むことなく、与えられた仕事だけを黙々とこなすことを生甲斐としているのかもしれない。 そう考えると、彼の感情が希薄になるのも納得のゆく話だった。 188 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第四話】 ◆AJg91T1vXs :2010/11/18(木) 08 15 36 ID S8lbibsa 「さて……。 とりあえず、夕食には間に合ったけど……明日から、どこに泊まろうかなぁ……」 翌日からのことを考えながら、ジャンは思わずそんなことを口にした。 リディには、明日には街を発つと言ってしまった。 このまま彼女の宿場に泊まり続けても良いのだろうが、さすがにそこまで甘えられない。 かといって、伯爵の行為に甘えて屋敷に部屋を用意してもらうのも気が引ける。 ここは一つ、明日の内に別の安宿でも見つけておくしかないか。 クロードの話では、街にいる間の滞在費用は伯爵家が出すとのことである。 もっとも、それで調子に乗って最高級の宿に腰を下ろそうなどという、下品な下心は持ち合わせていない。 今後の宿のことを思案しながら宿場の戸をくぐると、酒や料理の匂いに混ざり、男達の豪快な話声が聞こえて来た。 日没までにはまだ少しだけ時間があったが、どうやら早くも階下の酒場が賑わっているらしい。 「おや、戻ったのかい、兄さん。 リディの姉さんが、上で御待ちだぜ」 一階の酒場を切り盛りしている店主の男が、ジャンの顔を見るなり言った。 相変わらず、気さくで人当たりの良い男だとジャンは思う。 昨晩に入った、不味い酒を出す店のマスターとは大違いだ。 「わざわざ伝えてくれて、すみません。 昨日は明日にでも発つ予定だったんですが……僕も、もう少しだけこっちに留まることになりそうです」 「そうかい、そいつはよかった。 リディの姉さんの作る夕食があるなら別に必要ないんだろうが……しばらくいるってんなら、たまには、俺の店でも飲んで行ってくれよ」 「ええ。 それじゃあ、早速今晩お世話になります。 実は……帰りがいつになるかわからなかったんで、リディに夕食は要らないって言っちゃったもので……」 「気づかいが裏目に出たな、兄さん。 まあ、そうがっかりしないで、今日は好きなだけ飲んで行けよ。 最初の一杯なら、俺の奢りでタダにしておくさ」 「ありがとうございます。 でも、あんまり飲み過ぎると、そのリディに叱られそうで怖いですけど」 「なるほど。 そいつは違いねえ!!」 ほんの軽い冗談のつもりだったが、ジャンの言葉に店主は豪快に笑って答えた。 街の人間はジャンに冷たい者が多いのではないかと勘ぐっていたが、この男だけは、他人を色眼鏡で見るようなことはしない人間に思えた。 189 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第四話】 ◆AJg91T1vXs :2010/11/18(木) 08 16 36 ID S8lbibsa ジャンがカウンターの前にある席に腰を下ろすと、店主の男は店の奥から一本のボトルを出して来た。 言われるままに、ジャンはグラスに注がれたワインに口をつける。 口に入れた瞬間、甘酸っぱい果実の味と香りが広がった。 プラムやベリーを思わせるような香りと、程良い渋み。 それらの味を上品な酸味が上手にまとめ、飲み干した後の口当たりも良い。 昨日の晩、一口飲んだだけで悪酔いしそうな酒を飲んだ後だったが、まったく気にせず飲むことができた。 むしろ、この酒が薬となって、昨晩の酒を中和してくれるのではないかとさえ思ってしまった。 「良いお酒を出しているんですね。 どこで手に入れた物なんですか?」 「残念だが、そいつは企業秘密ってやつだ。 どんなに粘られても、こればっかりは教えられねえ」 店主の男が悪戯っぽい笑みを浮かべて言った。 もっとも、ワインの出所を教えたくないというのは本音なのだろうが。 それからジャンは、差し出されたパンとチーズを片手に男と他愛もない話をして楽しんだ。 が、しばらくすると、店も本格的に忙しくなり、男は客の相手をするので手一杯になってしまった。 店の奥では、客の注文を受けて料理を作る女性の姿も見受けられる。 どうやら店主の妻のようだが、こちらもまた忙しそうだ。 作った料理を運んでは店の奥に戻るの繰り返しで、とてもではないが話しかけられそうな雰囲気ではない。 話相手を失い、ジャンは何をするわけでもなく目の前の皿に残っているチーズを摘まんだ。 最初に勧められた一杯より先は何も飲んでいなかったので、そこまで酔いが回っているわけでもない。 それよりも、ハムとチーズくらいしか口にしていないため、空腹感の方が大きかった。 こんなことなら、リディに夕食を作ってもらうのを断るべきではなかったか。 そう、ジャンが考えた時、彼の横の席に誰かが座る音がした。 「ねえ、ジャン。 隣、いいかしら?」 声をかけてきたのはリディだった。 いつもは二階の宿場にいる彼女が降りてきているということは、夕方の仕事は一通り終わったのだろうか。 190 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第四話】 ◆AJg91T1vXs :2010/11/18(木) 08 17 45 ID S8lbibsa 「どうしたの、リディ。 宿場の仕事、終わったのかい?」 「どうしたのってことはないでしょ。 ジャンこそ、夕食の時間に間に合ったんなら、どうして直ぐに帰って来たって言ってくれなかったの?」 「いや、ごめん。 なんか、中途半端な時間に戻って来ちゃってね。 お店の親父さんの勧めもあったし、仕方ないからちょっと飲んでた」 「ちょっと飲んでたって……。 でも、夕食まだなんでしょ? 空き腹にいきなりお酒なんて入れたら、それこそ身体に毒だよ」 「そんなこと言ったって、リディには夕食は要らないって言っただろ。 今さら、何か作ってもらうっていうのもなぁ……」 「大丈夫だよ、ジャン。 こんなこともあろうかと、ちゃんとジャンの分は取っておいたから。 それよりも、ジャンが無理して身体を壊しちゃう方が、私は心配だよ」 別にそこまで悪い事をしている気などなかったが、リディは本気でジャンを心配しているようだった。 それに、たしかに腹が減っているのも事実だ。 店主の男には悪いが、酒を飲んであれこれと語らうのは、また今度の機会にさせてもらうしかなさそうである。 「すいません、親父さん。 それじゃあ、お代はここに置いておきますんで……」 「おう、ありがとな。 しばらくこっちにいるってんなら、また飲む機会もあるさ」 ワインのボトルを布で拭きながら、店主が答えた。 ジャンは代金が足りているか勘定するように伝えたが、「信じているから必要ない」の一点張りで、金を数えることなどしなかった。 まったくもって、最後まで気前の良い男だ。 ほのかにワインの香りが漂う一階を離れ、リディと共に二階に上がる。 食堂に移ると、リディはすぐさまジャンの分の夕食を持ってきた。 昨日の夜に食べた賄いのシチューなどではなく、鶏肉にハチミツソースをかけた、割としっかりとした料理だった。 何時に帰るかも伝えていないのに、妙に手際が良い。 そう思ったジャンだったが、リディ曰く、宿場の経営者として基本のことらしい。 部屋が満室にでもならない限り、常に急ぎの来客でも対応できるように準備をしておくこと。 それが、宿の評判を高く保つための秘訣なのだそうだ。 空腹だったことも相俟って、皿の上の料理はすぐになくなった。 食器を片づけに来たリディに、ジャンは少し困った顔をして告げる。 話の内容は、もちろん明日の宿のことだ。 191 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第四話】 ◆AJg91T1vXs :2010/11/18(木) 08 19 04 ID S8lbibsa 「ねえ、リディ。 ところで……明日もあの部屋、空いてたりってするかい?」 「えっ!? まあ……別に、急なお客さんがいるわけでもないし……。 多分、大丈夫よ」 「だったら話が早いな。 実は、テオドール伯の病気なんだけど、どうも治療に時間がかかりそうでね。 しばらくは、この街に留まって診察を続けないといけないんだけど……生憎、明日の宿がないんだよ」 「なんだ、そんなこと。 それなら、あの部屋をジャンに貸してあげるわよ。 この街にいる間、そこで暮らしたらどう?」 「でも、さすがに宿の一室を、そう何日も借りるわけにはいかないよ。 僕だけじゃなく、他のお客さんだって泊まるだろうしさ」 「そうねぇ……」 食事の終わった皿を片手に、リディもしばし考え込んだ。 一家の私財を全て投げ打って手に入れたこの宿は、決して大きい物ではない。 設備は驚くほど整っているものの、宿泊客のための部屋が、そう何十もあるわけではないのだ。 (お客様用の部屋は、数も限られているしなぁ……。 私は別に、ジャンに貸してあげてもいいんだけど……) リディにとっては、ジャンに部屋の一つを貸すことなど何の負担でもなかった。 むしろ、ジャンが自分の側に留まってくれるのであれば、部屋の一つや二つ、安いものだ。 だが、そうは言っても、ジャンはあの通り生真面目な性格である。 自分がリディの商売の邪魔になっていると感じた瞬間、この宿を出て行ってしまうかもしれない。 宿泊客を泊めるための部屋は貸し出せない。 だとすれば、考えられる案はただ一つだ。 食器を片付け終え、再びジャンの下に戻るリディ。 ジャンは部屋に戻ろうとしていたようだったが、彼女はあえて、それを引き留めた。 「ねえ、ジャン。 もし、よかったらでいいんだけど……」 「なんだい? 言っておくけど、僕にタダで部屋を貸すなんて提案は、さすがにお断りだよ。 いくら昔の仲でも、君にそこまで甘えられない」 先手を打たれた。 そう思ったリディだったが、今さらここで引くつもりもなかった。 ジャンを少しでも自分の側に繋ぎ止めておきたいという想いは、絶対に譲ることのできないものだったからだ。 192 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第四話】 ◆AJg91T1vXs :2010/11/18(木) 08 20 35 ID S8lbibsa 「実は、この宿場なんだけど、従業員用に作った部屋が空いているの。 三階にある仮眠室みたいな場所なんだけど、そこだったら、ジャンにずっと泊まってもらうこともできるよ」 「仮眠室か……。 でも、いいのかい? 従業員用ってことは、下のお店の親父さん達だって使うんじゃないか?」 「それは大丈夫。 あの人達の部屋は、ちゃんと一階に用意してあるから。 三階の部屋は、今は誰も使ってないのよ」 「そういえば、リディの他に、この宿場で働いている人は見なかったな。 やっぱり、一人で切り盛りしているってことかい?」 「うん、まあね。 さすがに、人を雇うような余裕はないし……。 昔、お母さんが寝ていた部屋を利用して作ったんだけど、今は持て余してるの」 決まりの悪そうな顔をしながら、リディがジャンに言った。 以前、今は亡きリディの母が使っていた部屋を、従業員用の仮眠室に改造したのは事実だ。 しかし、作ったのはいいものの、人を雇ってまで宿を大きくするような余裕もなく、結局は部屋を遊ばせているだけだった。 宿泊客を泊めるために貸し出そうとも考えたが、他の部屋に比べると少し狭い。 それに、隣室が自分の部屋であることを考えると、四六時中気を使ってしまいそうで嫌だった。 「従業員用の仮眠室か……。 まあ、リディが良いって言うなら、遠慮なく使わせてもらうけど……。 本当に大丈夫なのかい?」 「うん、平気だよ。 どうせ、これから先も人を雇う余裕なんてないだろうしね。 それに、部屋だって、誰かに使ってもらった方が嬉しいはずだから」 「わかったよ。 だったら、今日からその部屋にお世話になることにするよ。 明日の朝になって荷物を動かしたりするのは、さすがに慌ただしくなりそうだからね」 「そうね。 それじゃあ、私は部屋を少し片付けて来るから。 掃除が済んだら呼ぶから、ジャンはそれまで二階にいて」 最後の方は、どこか嬉しそうな表情でリディは言った。 そのままジャンを二階に残し、三階へと続く階段を上って行く。 リディの足音が遠ざかって行くのを聞きながら、ジャンはふと、今日の帰りに見た少女のことを思い出した。 幽霊のように白い肌と、ほとんど色の無い白金色の髪。 抱けばそれだけで折れてしまいそうに細い身体と、血のように赤く染まった二つの目。 同じ赤でも燃えるような熱さはなく、どこか寂しく儚げなその視線は、忘れようにも忘れられない。 193 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第四話】 ◆AJg91T1vXs :2010/11/18(木) 08 22 25 ID S8lbibsa 少女が普通の人間でないことは、ジャンも薄々気がついてはいた。 医師として各地を転々とする生活を続け、早数年。 自然の悪戯は、時に生まれながらにして、人間離れした容姿を人に与えることもある。 伯爵の屋敷に着いた時に感じた視線も、恐らくは彼女のものだったのだろう。 あの時は、相手が二階から見降ろしていることに気がつかなかったに違いない。 彼女はいったい何者なのか。 自分には関係ないと思いつつも、ジャンはそれだけが気になって仕方がなかった。 医師として、彼女のことを憐れむ気持ちもあった。 また、ジャン自身、その容姿に幻想的な美しさを抱いていなかったかと言えば、それも嘘になる。 (まあ、今は考えても仕方ないか。 機会があれば、伯爵の屋敷に行った時に聞いて見るか……) 受付の前にある椅子に座ったまま、ジャンはぼんやりと天井を仰いで考えた。 もっとも、その時はそれ以上の感情を少女に抱くこともなく、今日の出来事をすぐに頭の隅に追いやった。 ジャンにとってはむしろ、自分のことを煙たく思う人間が多くいるであろう街に、思いのほか長く滞在することへの居心地の悪さの方が大きかった。 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 夜になると、街は凍てつく風に支配される。 丘からの吹き下ろしが通りを駆けまわり、ガタガタという音を立てて窓ガラスを叩く。 十年以上も前から変わらない、この街にとってはごく当たり前の冬の光景だ。 その日の夜、仕事を終えて自室に戻ったリディは、ベッドの上でジャンの顔を思い浮かべていた。 十年前、自分の前から別れも告げずに街を去ったジャン。 あの時は、まだ幼い子どもだった自分の無力さが悔しくて仕方がなかった。 なぜ、ジャンまでが街を追い出されなければならないのか。 この街に住めなくなることは仕方ないにしても、せめて別れの言葉くらい言って欲しかった。 もしくは、必ず戻って来ると、自分の前で約束して欲しかった。 だが、彼女の願いは何一つ聞き入れられることなどなく、ジャンはリディの前から姿を消した。 そして、何の音沙汰もないまま、瞬く間に歳月は過ぎていったのだ。 もう、ジャンには会えないかもしれない。 宛てのない旅路の先で、生きているのか死んでしまったのか、それさえも分からない。 心のどこかでジャンが帰ってくることを信じながらも、どこか自分の中に大きな空白が生まれてしまったような感じがした。 ジャンがいなくなったことで生まれた虚無感は、何をしても埋められるようなものではなかった。 194 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第四話】 ◆AJg91T1vXs :2010/11/18(木) 08 23 29 ID S8lbibsa 「ジャン……。 ようやく、戻ってきてくれたんだよね……」 誰に言うともなく、灯りの消えた部屋の中でリディは呟く。 あまりに突然なジャンの帰郷。 嬉しさと戸惑いと、その両方の感情が合わさって、自分でも気持ちをうまく表現できない。 リディの中のジャンは、十年前に別れた時の姿のままだ。 少なくとも、今まではそうだった。 ジャンのことを想うことはあっても、その姿はリディの頭の中で考えた想像の産物である。 しかし、昨日の夜にジャンが戻ってきたことで、十年前から止まっていた時間の歯車が再び動き出した。 リディの前に現れた、大人の姿のジャン。 癖のある金髪や翡翠のような色の瞳はそのままに、顔からは随分と幼さが抜けていた。 身体つきは相変わらず華奢に見えるが、背丈はリディのそれをはるかに越していた。 自分の心の中にしまっていた、幼き日のジャンは消えた。 今、リディの側にいるのは、彼女が想像した夢物語の主人公ではない。 ジャンは戻って来てくれたのだ。 大人になって、それこそ、リディの思い描いていた姿よりも、はるかに立派で素敵な男になって。 「でも……」 そこまで考えて、リディはふっと溜息をつく。 「ジャンは……ずっと、この街にいるわけじゃないんだよね……」 ジャンが街に留まることになった理由。 それは、自分の患者であるテオドール伯の往診のためだ。 伯爵の病が完治するか、そうでなくとも快方に向かえば、ジャンはすぐにでも街を離れるつもりなのだろう。 このままでは、ジャンが再び自分の前からいなくなってしまう。 あんな思いをするのは、もうたくさんだ。 十年間。 自分は、十年間も待ったのだ。 例え望みは薄くとも、いつかはジャンが戻って来るかもしれないという、儚い希望にかけてきた。 父が亡くなり、母を失ってもなお、この街で宿場を続けてこられた理由。 それは一重に、ジャンが帰って来ることを信じてのことだった。 今、自分の隣の部屋には、夢にまで見たジャンがいる。 だが、そんな彼を離したくないという気持ちとは反対に、どうすれば彼をこの街に引き止められるのかが思いつかない。 どうすれば、ジャンに再び自分のことを見てもらえるようになるのか。 それが分からない。 195 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第四話】 ◆AJg91T1vXs :2010/11/18(木) 08 31 16 ID S8lbibsa ―――― 約束通り、ジャンのお嫁さんにして!! これは駄目だ。 そもそもジャンは、幼き日の約束さえ覚えているかどうか怪しい。 まずは、約束を思い出してもらわないことには、この台詞に効果はない。 ―――― 私もジャンと一緒に旅がしたいの!! たぶん、これも駄目だろう。 宿場の仕事を捨ててまで自分に同行することなど、あのジャンが認めるはずもない。 それに、医学の知識が何もない自分がジャンの旅に同行しても、足手まといになるだけだ。 ―――― 私の病気を治せるのは、ジャンだけなの!! 最早、論外である。 恋煩いに、つける薬などありはしない。 これはリディ自身が一番よくわかっていることだ。 それに、こんなことを言ってジャンを困らせ、嫌われでもしたら元も子もない。 結局、その日の晩は、ジャンを引き止めるための良い言葉が思い浮かばなかった。 手を伸ばせば、すぐに届きそうな場所にいるにも関わらず、常に別れのタイムリミットに怯える不安感。 それを打ち払うには、一刻も早くジャンを自分に振り向かせねばならない。 (こうなったら、ジャンにも私のことを見てもらうしかないよね……。 大人になった私を見てもらって……それで、ジャンにも私を好きになってもらって……最後に気持ちを伝えればいいんだ。 よし、そうしよう!!) 時間に限りはあるが、希望を捨てるにはまだ早い。 これから先の生活で、徐々にジャンの瞳を自分に向けさせて行けばよいのだから。 機会は必ず訪れる。 その言葉を信じ、リディは胸の前で手を合わせたまま静かに床に就いた。
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599 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第七話】 ◆AJg91T1vXs :2010/11/29(月) 07 28 42 ID 26hAdXll 屋敷の外から聞こえる雨音と、衣服を脱ぐ音だけが部屋に響く。 呆気にとられるジャンを他所に、クロードは次々と着ている服を脱ぎ、椅子にかけてゆく。 胸元に巻きつけていた晒のような布もとり、最後は下着さえも脱ぎ去って、一糸まとわぬ姿となる。 「あ、あの……」 突然のクロードの奇行に、ジャンは言葉を失って立ちつくすしかなかった。 だが、彼が言葉を失ったのは、何もその行動に対してだけではない。 自室に客人を連れ込んで、前置きもなしに衣服を脱ぎ去る。 知らない者が聞いたら変な誤解を生みそうな行為だが、それ以上に、ジャンは衣服の下から現れたクロードの身体に釘付けとなった。 ルネほどではないにしろ、その肌は白く美しい。 均整の取れた体つきも相俟って、見る者を魅了しないかと言えば、それは嘘になる。 そして、何よりもそれ以上に特異だったのが、クロードの胸元にある二つの膨らみだった。 その顔立ちと声色からして、彼は間違いなく男性である。 少なくとも、ジャンは今までそう思っていた。 現に、生まれたままの姿となったクロードの下半身には、列記とした男性器の姿が見て取れる。 しかし、その一方で、彼の胸は女性のそれを思わせるほどに、柔らかな膨らみを帯びていた。 決して大きくはないが、形の取れた二つの乳房。 晒布で締めつけていたこともあり、服の上からでは気づかなかった。 が、一切の縛めを解かれた今、胸元だけ見れば、彼の身体は間違いなく女性のそれだった。 「もう、おわかりでしょう、ジャン様……」 躊躇いも恥じらいもない、鋭く刺すような視線。 裸体をさらしているにも関わらず、クロードはまったく臆することなくジャンに語りかける。 「私は『ふたなり』なんですよ。 生まれた時は、自分のことを純粋な男だと思っていましたがね。 大人になるにつれて、胸元が女性のように大きく膨らみ……果ては、女性特有の月の物まで始まるようになりました」 「月の物って……。 それじゃあ、君は……」 「ええ。 私は生まれつき、男の身体と女の身体を併せ持っていたのです。 ここからでは見えませんが……女性が子を作り、育てるための場所も持っております。 その一方で、男としてのそれも、何ら問題なく機能しますが……」 600 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第七話】 ◆AJg91T1vXs :2010/11/29(月) 07 29 58 ID 26hAdXll 自分の下半身に目を落としつつ、クロードがどこか憂いを帯びたような口調で言った。 両性具有。 またの名を、ふたなり。 父の持っていた医学書からの知識で、ジャンもそういった人間がいることは知っていた。 が、実際に目の前にするのは初めてであり、やはり驚きを隠せない。 男でありながら、同時に女の身体も併せ持って生まれてきてしまったという事実。 それを知った時、目の前の男は、どれほど深く苦悩したことだろうか。 今までは純粋な男だと思っていた自分の身体が、徐々に異質な物へと変貌してゆく様。そのことに、どれほど震え、また怯えたことだろうか。 「先ほど、ジャン様にはお話したはずです。 御主人様は、人を容姿で判断するような狭量な御方ではないと」 「あ、ああ……。 確かに、君に言われると……そう納得せざるを得ないかな……」 「御主人様はお優しい方です。 現に、私のような者でさえ、こうして召し抱え……果ては、執事長という役職まで下さるのですから……。 人として扱われず、周りからは化け物と呼ばれてきたようなこの私に、生きる意味を与えて下さったのですから……」 己の裸身をさらしたまま、クロードは胸元に手を添えて静かに言った。 その言葉に、何も返すことができないまま、ジャンは茫然と立ち尽くしている。 生まれながらにして、人とは異なる肌や瞳を持ってしまった少女、ルネ。 そして、その身体が大人に変わるにつれて、男でも女でもない存在となってしまった青年、クロード。 医者である自分でさえ、ともすれば彼らに好奇の眼差しを向けかねないとも限らない。 ならば、医学的知識もない一般の者からすれば、彼らの姿は正に異端者だ。 下らない、迷信じみた差別に振り回され、彼らは今までも周囲の冷たい視線に耐え続けてきたのだろう。 「ジャン様。 これは、私の御主人様からのものではなく、私自身の願いです」 「あなた自身の?」 「はい。 私にとっての生きる意味とは、生涯をかけて御主人様に尽くすこと。 お嬢様が養女になられてからは、その尽くす対象に、お嬢様も含まれるようになりました」 601 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第七話】 ◆AJg91T1vXs :2010/11/29(月) 07 31 26 ID 26hAdXll 迷いのない真っ直ぐな瞳と、真っ直ぐな言葉だった。 異端者として忌み嫌われてきたクロードを、テオドール伯は何の偏見もなく召し抱え、その側へと置いた。 その事実がクロードに、伯爵への極めて深い忠誠心を抱かせているのはジャンにもわかる。 「昨晩、お嬢様はジャン様のことをお話された際、珍しく笑顔になられたのです。 普段であれば、決して笑うことなどないお嬢様が、ジャン様の話をされた時だけは、天使のような笑顔を浮かべたのです」 「天使って……。 そんな、大袈裟な……」 「いえ、大袈裟などではございません。 現に、私も今までお嬢様に尽くして参りましたが……あのような笑顔を見たことは、一度たりともなかったのです」 最後の方は、少し残念そうな口ぶりだった。 恐らく、ルネとてクロードに感謝していないわけではないのだろうが、それが彼女の笑顔に繋がるかと言われれば、必ずしもそうとは言い切れない。 もっとも、己の職務に忠実になり過ぎるあまり、冗談の一つも言えないであろうクロードが、人を笑わせることができるなどとは考え難いということもあるが。 「今一度、無理を承知で申し上げます、ジャン様。 お嬢様の、お話し相手になっていただけませんか。 例えそれが、御主人様の病が快方に向かう間だけのものだったとしても……お嬢様の笑顔のためであれば、私は地に頭をつけてでも頼み込む次第です」 「わ、わかったよ。 わかったから、そう改まらないでくれないかな。 それと……まずは、早く服を着た方が……」 断ることなど、この状況では出来なかった。 ただ、目の前で頭を下げるクロードに対し、ジャンは当たり障りのない言葉をかけて、その場を凌ぐだけだった。 クロードが伯爵に心酔してしまう気持ちは、ジャンにもわからないではない。 己の存在全てを否定されたクロードに、唯一手を差し伸べたのが、テオドール伯だったのだから。 そして、そんな伯爵への強過ぎる忠義心は、伯爵の養女であるルネにも向けられるようになったのだろう。 本当は、ルネとこれ以上の関係になりたいとは思わなかった。 昨日、厨房で話をしたのは、単にその場に現れたルネに合わせただけのこと。 今朝のリディの態度もあり、ジャン自身、この土地に自分を縛り付けるような枷を残すべきではないと考えていた。 だが、目の前でこうも頼み込まれれば、ジャンとて断るに断れない。 クロードの望みは実にささやかなものだったが、本人にとっては重要なものなのだろう。 そして、それはジャンにとっても同様だ。 気軽に頼みを引き受けた結果、別れの際にルネを傷つけることになりはしないか。 彼女に深い喪失感を抱かせるのであれば、自分はあくまで行きずりの医者であるべきではないか。 602 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第七話】 ◆AJg91T1vXs :2010/11/29(月) 07 32 20 ID 26hAdXll そんな考えも頭をよぎったが、クロードの刺す様な眼差しの前には、ジャンも彼の頼みを断る口実が見つからなかった。 彼らは今まで、はみ出し者として辛い人生を送ってきたのだ。 ここで自分がクロードの頼みを断れば、それこそ二人を傷つけることになるかもしれない。 ルネも、そしてクロードも、己の奇異な姿故に、ジャンから拒絶されたのではないかと思うようになるかもしれない。 結局、ジャンはクロードの頼みを聞き入れて、ルネの話し相手になる他になかった。 無論、伯爵の病気が快方に向かうまでという条件付きではあるが、それでもクロードは納得してくれたようだった。 自分は別に、同情からルネの話し相手を引き受けたわけではない。 彼女に過度な期待を抱かせないよう、適度な距離を保ちながら接するように注意せねばならない。 そう、自分の肝に銘じながら、ジャンは服を着直したクロードと共に部屋を出た。 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 冷たい雨が、午後の街を濡らして行く。 夕暮れ時には早すぎる時刻だというのに、灰色の空の下、街は入相の頃のように薄暗い。 午後の仕事を一通り終えたリディは、宿場の自室で窓の外を眺めながら考えた。 雨は未だ止む気配を見せず、憂鬱な気分だけが広がってゆく。 夏の暑い盛りに降る雨ならばまだしも、冬の冷たく湿った雨は、どうにも好きになれない自分がいる。 今朝、ジャンと食堂でした会話を思い出し、リディは頬杖をついたまま大きな溜息を洩らした。 自分はなぜ、ジャンにあんな話をしてしまったのだろう。 何の前置きもなくあんな話をすれば、ジャンが困ることなどわかっていただろうに。 (馬鹿だな、私……。 あんな言い方したら、まるで私の方が、ジャンに甘えているみたいじゃない……) 心の中でそんなことを呟いたが、ジャンに甘えたいというのはリディの本心でもあった。 ジャンがこの街を訪れてから、早くも一週間と少しが経とうとしている。 相変わらずこちらの気持ちは告げられないままだが、ジャンが自分の側にいる生活は、決して悪いものではない。 だが、リディが望むものは、そんな中途半端な関係ではなかった。 自分がジャンにとっての居場所になり、ジャンにこの街に留まってもらうこと。 そして、最終的には自分にジャンの想いを告げ、幼き日の約束を果たすこと。 そう、頭では理解していたが、やはり心の寂しさだけは埋められなかったのだろうか。 もっと、ジャンの側にいたい。 十年間、ずっと会えなかった分だけ、彼に自分を見てもらいたい。 十年分の寂しさを、彼の胸で癒して欲しい。 それらの想いが高まって、今朝はつい、ジャンに自分の弱い一面を見せてしまった。 自分の寂しさをわかって欲しいという気持ちが先走り過ぎて、返ってジャンに気まずい思いをさせてしまった。 603 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第七話】 ◆AJg91T1vXs :2010/11/29(月) 07 33 08 ID 26hAdXll 「はぁ……。 この分だと、私……嫌われちゃったのかなぁ……」 今朝の食堂にあった重い空気は、リディとて気づいていた。 失敗したと思った時は既に遅く、ジャンはリディの言葉に何も答えてはくれなかった。 今さらながら、自分の軽率な行動が悔やまれた。 感情に任せて甘えた結果、返ってジャンを遠ざけてしまった。 本当は、自分の方がジャンの居場所になってあげなければならないのに、それさえもできなかった。 時間は無尽蔵にあるわけではない。 今のまま無難な関係を続けていても、進展はまったく望めない。 このままジャンとの距離が縮まらない内に、彼が自分の前から去ってしまうこと。 それだけは、なんとしても避けねばならない結末だ。 「でもなぁ……。 私がジャンのためにできることって、いったいなんだろう……」 自分は別に、何か特別な力があるわけではない。 知識ならばジャンの方が圧倒的に上であるし、ジャンが往診に通っている伯爵のように、富や権力に恵まれているわけでもない。 結局、自分にできることは、ジャンのために快適な寝床と食事を用意することくらいだ。 傍からすれば他愛もない、誰にでも出来ることに思われるだろう。 だが、宿場の仕事とは、そもそも旅の人間の疲れを癒すところにある。 ならば、自分がジャンのために精一杯仕事をすれば、それはジャンにとっての癒しにもなるのではないか。 「そうだよね……。 私だって、ジャンのためにできること、あるはずだよね」 外は未だ雨が降っていたが、リディの気持ちは少しだけ前に向いて動き出していた。 一人でじっくりと考えたせいか、幾分か気持ちも落ち着いてきたようだ。 今日はジャンのために、久しぶりに豪華な夕食を作ろうか。 連日の往診で、ジャンとてきっと疲れているはずだ。 少しでも美味しい物を食べてもらいたいというのは、リディの純粋な想いでもある。 「よしっ! そうと決まれば、行動開始よね。 今日は久しぶりに、気合入れて夕食作るわよ!!」 机を両手で軽く叩き、そのまま勢いをつけて立ち上がる。 自分にできることは決して特別なことではないが、それでもジャンのことを癒してあげたいという気持ちだけは、誰にも負けないつもりだった。 604 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第七話】 ◆AJg91T1vXs :2010/11/29(月) 07 34 00 ID 26hAdXll ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 夕刻が近づくにつれ、雨も幾分か小降りになっていた。 窓辺を雫が流れ落ちるような激しさは既になく、ポツポツと、小さな水滴が窓に張り付いてくるだけである。 この分であれば、夜にはこの雨も止むだろう。 窓の外で、雨に濡れている木々の梢を見ながら、ジャンは少しほっとした。 このまま夜半まで雨が続けば、必然的に夜は冷え込むことになる。 リウマチを患っている伯爵にとっては、あまり好ましいことではないからだ。 「お茶が入りました、お嬢様」 白磁の陶器が乗った盆を持ち、クロードが部屋へと入って来た。 相変わらず、無機的な表情は変わらない。 己の秘密をジャンに明かした時とは違い、その顔はいつもの冷静なそれに戻っている。 「ありがとう、クロード。 では、お茶にしましょうか、ジャン様」 目の前で紅茶を入れるクロードに簡単な礼を述べ、ルネがジャンに向かって言った。 今、ジャンがいる場所は、他でもないルネの部屋だ。 伯爵の娘の話し相手とはいえ、自分は流れ者の医者である。 執事や女中が見張る中での会話になると思っていたが、ルネはあえて自分の部屋で話を聞きたいと申し出た。 どうも、他人に見張られた状態で話を聞くのは、ルネにとって好ましいことではないらしい。 「では、ごゆっくりと……」 紅茶を入れ終わったクロードが、ティーポットを乗せた盆だけを持って部屋を出た。 そういえば、ジャンはこの屋敷でクロード以外の使用人と話をしたことがない。 廊下を数人の執事や女中が歩いているのは見かけたが、ジャンと話をするのはクロードだけだ。 そして、伯爵やルネと直接話をしているのも、クロードだけのように思われた。 現に、今もクロードは、執事長という立場でありながら、ルネの部屋に自ら紅茶を運んできた。 己の深い忠誠心故に、伯爵やルネの世話を可能な限り自分で行いたいという感情の現れなのだろうか。 そんなクロードが、自分とルネが一つの部屋で二人きりになることを許す。 普通に考えれば、これは理解し難いものがある。 こちらを信用してくれているのか、それとも試しているのか。 どちらにせよ、目の前の令嬢に失礼なことがあってはならない。 ルネに非礼を働けば、それは即ち、ジャンの身の保証がなくなるということである。 605 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第七話】 ◆AJg91T1vXs :2010/11/29(月) 07 35 06 ID 26hAdXll 「どうされました、ジャン様?」 先ほどから何も言わずに黙り込んでいるジャンの顔を、ルネが覗きこむ様にして見る。 相手の視線に気づき、ジャンは思わず咳払いをすると、少し慌てた様子でルネの方へ顔を向けた。 「えっと……。 いや、ちょっと外を眺めていたんだ。 少しは小降りになったとはいえ、まだ雨が止まないからね。 このまま夜まで降り続いたら、伯爵の病気にも良くないと思ったんだよ」 「そうですわね。 でも……私は、晴れの日よりも雨の日の方が好きですわ。 真昼の日差しは、私にとっては、少しばかり意地悪ですから……」 「君の身体のことは、クロードさんから聞いたよ。 でも、今はその話をするのはよそう。 君だって、こんな話をするために、僕を部屋に招いたわけじゃあないだろう?」 「うふふ。 お優しいのですね、ジャン様は」 紅茶を一口だけ飲み、ルネはジャンに微笑みかける。 以前、ジャンが初めて屋敷を訪れた時に、窓辺から不安そうにこちらを見降ろしていた顔ではない。 厨房で出会った時もそうだったが、あの少女にこんなにも穏やかで純粋な笑顔が作れることが、ジャンは不思議でならなかった。 「それじゃあ、今日は何の話をしようか。 君が聞きたいというなら、僕の旅した場所のことは、余すことなく話すつもりだよ」 「そうですね……。 では、ジャン様。 雨についてのお話など、お持ちでしょうか?」 「雨、か……。 特にこれといって、珍しい話はないけど……」 「別に構いませんわ。 私、雨が好きなんです。 いつもは見慣れた庭の草木も、雨に濡れた姿を見ると、いつもより美しく思えるんです。 雨露に濡れて装いを変えた花壇の草花を見ると、それだけで、草花の息吹を感じられる気がしますわ……」 最後の言葉を言った時、ルネの視線は、どこか遠くを見つめるような視線になっていた。 生まれながらにして日光に弱く、外の日差しの下を歩くことさえも許されない。 その容姿故に外界から隔絶され、決して表の世界を知ることなく育った少女。 それなのに、どうしてこうも、ルネは自然の変化を繊細なまでに感じ取ることができるのだろうか。 恐らく、永きに渡り閉鎖された世界にいたことで、逆に感覚が鋭敏になっていたのだろう。 四季折々の自然の変化、空気の流れ、そういったものの変化を、普通の人間よりも強く感じられるようになったに違いない。 606 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第七話】 ◆AJg91T1vXs :2010/11/29(月) 07 36 41 ID 26hAdXll 彼女は純粋だ。 ルネの言葉を聞いたジャンは、改めてそう思った。 その肌の色、髪の色と同じく、その心もまた穢れを知らない。 人々の好奇の眼差しに怯えながらも、心の奥底にある、美しいものを愛でる感情は失われていない。 だが、それ故に、ジャンはルネのことが少しだけ怖くもあった。 彼女は周りの変化に敏感な人間だ。 それはなにも、自然の変化だけとは限らない。 自分と関わる他人の目、口調、そして放たれている空気から、自分がどう思われているのかを察知する。 下手に気づかいを見せれば同情から話し相手になったと思われるだろうし、距離をとり過ぎれば、それは拒絶として受け取られる。 クロードは、自分を信頼してルネの話し相手になって欲しいと申し出てくれた。 だからこそ、自分はその期待に答えねばならない。 いずれは街を去ることを考えると、ルネと深い関わりになることは避けたかった。 が、すぐさまクロードの身体のことが頭をよぎり、その考えを否定する。 あんなものを見せられては、ジャンも引くに引けなかった。 「それじゃあ、今日は僕が南西の山間部を旅した時の話をしようか。 幸い……って言うのもおかしな言い方だけど、僕が訪れた時、そこは雨だった」 もう三年、いや、四年ほど前の記憶だろうか。 まだ父と共に放浪の旅を続けていた頃の話だが、ジャンはあえてそこは伏せて話を始めた。 目の前で期待に溢れた眼差しを向けてくるルネに対し、不貞の父の話をすることなどは、あまりに無粋に思えた。 あの日、自分が山間部の村を訪れた際、そこでは雨が降っていた。 雨天の最中に山を歩くことは不快で仕方がなかったが、村に着いたことで、その苦痛からも解放された。 そして、村で一晩過ごした翌日の朝、ジャンは森の広がる峡谷にかかった、大きな虹を見たのである。 雨が美しい物を生みだすと知ったのは、この時が初めてだったように思う。 それまでは、ジャンにとって雨など煩わしいだけの存在だった。 こと、父と旅をするようになってからは、道中の雨に幾度となく悩まされてきた。 その記憶があまりに強かっただけに、山と山を繋ぐ橋のようにして現れた虹は、ジャンにとって衝撃だった。 淡々と話を続けるジャンの横で、ルネは食い入るような眼差しを向けながら、その話に聞き入っている。 きっと、彼女の頭の中では、ジャンの話している場所の光景が、ありありと再現されているに違いない。 一度も見たことのない場所でさえ、その豊かな想像力で頭の中に思い描き、感動を共有する。 旅先で見た物の話を続けながらも、ジャンはそんなルネの姿に、やはり神秘的な何かを感じていた。 607 :ラ・フェ・アンサングランテ 【第七話】 ◆AJg91T1vXs :2010/11/29(月) 07 51 52 ID 26hAdXll 「……で、そこの村には、ちょっと変わった伝説があってね。 なんのことはない、子ども向けの御伽話なんだけど……そこに出て来る主人公の名前が、僕の名前と同じなんだ」 「まあ、そうですの? それでしたら……きっとその方も、ジャン様のようにお優しい方なのでしょうね」 「いや……。 まあ、確かに気立ては良い人だとは思うけど……。 でも、その話の中のジャンは、僕とは似ても似つかない怪力の大男だよ」 「見た目は関係ありません。 例えその方が大男であったとしても、ジャン様と同じ御名前の方でしたら、お優しいに決まっています」 まだ、話の最初すら口にしていないのに、ルネはジャンに向かってきっぱりと言い切った。 その口調は丁寧かつ柔らかなものだったが、同時に自身に溢れた気丈さも併せ持っている。 厨房で初めて話した時とは違い、もしかすると、これが彼女の本来の性格なのかもしれない。 面と向かって自分のことを優しいなどと断言され、ジャンはどこかくすぐったいような気持ちにさせられた。 自分の気持ちをはぐらかすようにして懐中時計に目をやると、既に時刻は夕食の時間に近づいていた。 「おっと、もうこんな時間か。 残念だけど、今日はこの辺で御暇させていただくことにするよ」 「あら。 もう、そんな時間になりましたの? もし、ジャン様がよろしければ、クロードに御夕食の用意をさせますのに……」 「いや、さすがにそこまでは甘えられないよ。 僕だって一応は、お金を貰って仕事をしに来ているんだからね」 「そうですか……。 では、ジャン様。 続きは、また明日にでもお聞かせ下さい」 「ああ、そうさせてもらうよ。 それと……その、ジャン様ってのは、やめてくれないかな? 何度も言うようだけど、僕は行きずりの医者にしか過ぎないし……クロードさんからも、君とは友人のようにつき合うよう、言われているからね」 去り際に、ジャンはルネに向かってそう告げた。 ルネと初めて会った時に砕けた話し方をしたのは、相手を警戒させないための措置だ。 しかし、クロードからルネの話し相手になるよう頼まれた後も、ジャンはルネと友人のような話し方をするよう努めていた。 養女とはいえ、相手は伯爵の娘。 普通であれば、そのような接し方はルネに対して非礼に値する。 が、しかし、生まれながらにして人の目を気にして生きてきたルネにとって、身分も容姿も気にせずに話ができる相手は貴重だった。 そのことを汲んだ上で、クロードはあえて、ルネと話す時は畏まらないようジャンに告げたのだ。 「わかりました。 では、この次からは、ジャンと呼ばせていただくことにします。 これでよろしいのでしょう?」 部屋を出るジャンを笑顔で見送りながら、ルネは最後にそう言った。 本当であれば、あの敬語混じりの口調もなんとかして欲しいところだったが、さすがにそこまでは要求できない。 養女とはいえ、ルネも貴族の令嬢である。 彼女の言葉の一つ一つに気品があることは、むしろ自然なことなのだから。 帰りの馬車に揺られながら、ジャンはふと後ろを振り返った。 細かい様子はわからなかったが、遠ざかって行く屋敷の窓辺から、こちらを見つめている確かな視線を感じたからである。
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英雄ランディ・クロウウェル 世界を旅していた冒険者のひとりで、滅竜戦争にて黒滅竜を討伐した英雄 黒滅竜の圧倒的な力の前に絶望する世界で、唯一黒滅竜に絶望せず立ち向かうことに決めた勇気ある冒険者 しかし、ランディひとりの力ではどう足掻いても勝つことが出来ないため世界に散らばる全ての種族の元に赴いて人々を説得し黒滅竜討伐のための連合軍を結成した 数年に渡る両軍の苛烈な戦いの末、ランディの最後の一撃で無事黒滅竜の討伐を果たす 戦争が終結した2ヶ月後、英雄ランディ・クロウウェルは人々に見守られながら静かに息を引き取った 黒滅竜から受けた傷は深く、瘴気の毒が彼の身体を容赦なく蝕んでいたためあらゆる治療を試みたが彼の身体を治すことは出来なかったのだ 彼の死に世界中の人々が涙を流し、ある者は彼の像を作るといい、またある者は文献として彼の功績を残べきだと筆を手に取った それらは現在も残っており、彼の像は人々を見守り、文献は過去に起きた悲劇と英雄の物語を語り継ぐ大切な物として扱われている なお、現在では「英雄ランディ・クロウウェルの物語」という絵本が出版されおり、子供達に一番人気のある絵本になっている 関連 滅竜戦争 黒滅竜 絵本「英雄ランディ・クロウウェルの物語」 絵本「ランディ・クロウウェルの冒険」 メイディ・ランツブルグ
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ゾウディアックでは、あなたの行動により、見ることのできるエンディングが変化します。 エンディングの種類は、全部で5種類。 あなたはどのエンディングに辿り着くのでしょうか。
https://w.atwiki.jp/marsdaybreaker/pages/2261.html
気持ちを伝えるおにぎりセット(きもちをつたえるおにぎりせっと) ハニーキッチンで販売されている商品 L:気持ちを伝えるおにぎりセット = { t:名称 = 気持ちを伝えるおにぎりセット(アイテム) t:要点 = 具材たっぷり,形がいろいろ,きれいに並んだ t:周辺環境 = 楽しく作る自分 t:評価 = なし t:特殊 = { *気持ちを伝えるおにぎりセットのアイテムカテゴリ = ,,,携帯型アイテム。 *気持ちを伝えるおにぎりセットの位置づけ = ,,,{消費型アイテム,食物,料理品,ショップアイテム}。 *気持ちを伝えるおにぎりセットの取り扱い = ,,,ハニーキッチン。 *気持ちを伝えるおにぎりセットの販売価格 = ,,,8マイル。 *気持ちを伝えるおにぎりセットの特殊効果1 = ,,,気持ちを伝えるおにぎりセットは、生活ゲームの食費代わりに使用できる。 *気持ちを伝えるおにぎりセットの特殊効果2 = ,,,気持ちを伝えるおにぎりセットを作った人と一緒に食べると、少しだけ料理を作った人の気持ちが素直に伝わる。 *気持ちを伝えるおにぎりセットの使用回数 = ,,,使用回数(1回)。 } t:→次のアイドレス:米粒ついてる(イベント) } 保有国一覧 藩国名 入手履歴 保有者 使用履歴 現在所持数 保有者なし 参考資料 ハニーキッチン アイドレスWiki:気持ちを伝えるおにぎりセット(未掲載) 上へ 戻る 編集履歴: 藻女@神聖巫連盟 (2009/08/20) 矢上麗華@土場藩国 (2009/07/26) イラスト製作 黒崎克耶@海法よけ藩国 (2009/09/06)
https://w.atwiki.jp/kt108stars/pages/8849.html
208 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/02/05(水) 10 53 00.81 ID /b+0u9Vk0 遅まきながら脳内当ての流れに便乗 敵:連続殺人鬼の噂から発生した、影が具現化した都市伝説型妖怪 状況:敵はどこかに影が存在する限りは滅びない。殺しても何度でも蘇生する PL側が取った手段:影が一切存在しないようにあらゆる角度から照明で照らされた部屋におびき寄せて殺す 結果:照明機器の内部やPC達の服の内側に影が存在するからそこから復活したよ。消耗戦の末にPC達は殺されたよ(ドヤァ GMの想定していた解法1:影は不滅、だから密閉された箱の中にできた影に閉じ込めてそのまま封印してしまう GMの想定していた解法2:影は不滅、しかしこの妖怪が不滅であることと等価ではない この妖怪は殺人鬼の噂に怯える人間の恐れによって生まれたものだから、情報操作によって世間から存在を抹消してしまえばその内消滅する 211 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/02/05(水) 12 02 25.93 ID 5/xFORpXI 208 乙。自分の考えた解決策じゃないので認めませんタイプの吟遊GMか。 システムはわからんけど、解決策2の長期作戦なんて、普通の短期間事件解決のセッションじゃあまり考えつきにくいし、作戦としても採用されにくいと思うんだが 212 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/02/05(水) 12 18 18.95 ID At56vFjv0 [2/2] 208 報告乙。そういうのはPC能力使った情報収集で対策がわかる仕様だと面白くできるもんなのにな。 鋼の練金術士に登場するホムンクルスのプライドを連想した。 閃光弾で影を消したり暗闇に閉じ込めたりして対処してたっけなぁ。 211 それこそ神業的なもののあるシステムなら上のほうで話題になってる完全偽装とかでやれそう。 もっとも敵側の打ち消しリソースを削っておかなきゃ簡単に解除されたりするんだけど。 213 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/02/05(水) 12 22 46.95 ID 6rY5SJkA0 [1/2] 『影を全部消すなんて不可能だからそれでは倒せない』とGMが決めるのはアリかなあ。 しかし「消耗戦の末にPC達は殺された」はいただけない。 PCたちをあざ笑いつつ姿を消した、とかで先延ばしにすればいいものを。 214 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/02/05(水) 12 24 03.61 ID C+fpv9Wt0 208乙 その1の方って漫画版ジャイアントロボの影対策だな。 215 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/02/05(水) 12 25 15.21 ID RIS7gk+S0 [1/2] 208 想定解法はGMが実際に言ったことなのかな。なんか煙に巻こう感がする。 わかりやすい情報を出さないでPC全滅は笑えないよな。 216 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/02/05(水) 12 36 20.04 ID EiT8Wnkj0 [1/3] 箱に閉じ込めたって箱の外には影があるだろうに 復活条件どうなってんだそいつ スレ373